『猫のミヌース』や『魔法を忘れたウィプララ』等で知られる<オランダの本当の女王>シュミット女史の現代冒険ファンタジーです。アーベルチェっていうと、ベアトリーチェとかと似ていて女の子の名前みたいですが、主人公は男の子です。
物語は行き先不明のまま飛行する空飛ぶエレベーターによりオランダからアメリカ、南米、ニュージーランドと舞台を次々変えて展開されます。かつて魔法の絨毯で空を飛んでいた人間達は今エレベーターで空を飛ぶ訳です。人間の想像力は鉄の塊にも夢を与えることができるんですね。
キャラクターも程よく立っていて、作中うるさくない程度に骨っぽい教えもあり、かつ私好みに地味で(メインキャラが子どもとおじさんと初老の婦人と犬。ファンタジーとして完璧な布陣です)職業の問題とか現実的な要素と空飛ぶエレベーターというファンタジー要素がバランスよく配合されているのも良いのですが、私はトータルで言うと本作より『猫のミヌース』の方が好きでした。本作はアーベルチェと同い年(14歳)かそれ以前の年頃で読んだほうが楽しめるタイプの作品ではないかと思います。私の年齢(20代後半)で読むと、感情移入の対象になるキャラクターがいないんですよね〜(哀)ラウラちゃんは若すぎるし、かといってクラターフーンさんまではまだ至らないしで。『ミヌース』は主人公ティベが同年代なのでいいのかも知れません。まあ本書の読者で20代の人間というのも余りいないのでしょうが(笑)。
ともあれ、シュミットの作品には底に庶民賛歌の風味が感じられて良いなあと思います。
本作はイラストがとても可愛いので、そちらもじっくりお楽しみください。