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「21世紀のアートの新しい見取り図を明晰に語る」とされているが、本書が今後の展望をどこまで提供してくれているかは疑問である。著者は最後に、「現代の美術というものが、作家や評論家やギャラリーといった専門家による組織を超えて、観客と有機的なつながりをもつことで、さらに変貌、進化してゆくことへの積極的な構えが見られる」としてはいるが、一般的に言われていることの反復であり、具体性は見えてこない。
本書は歴史の解説なのでいいとしても、「ジェンダー」「テクスト」「他者」「アレゴリー」などといった難解な概念が頻出し、政治的な問題までからんで厄介に見えるとすれば、アートの世界は、これからもやはり一般市民に敬遠され続けるのではないかと思えてしまう。
ポストモダン以降の芸術。批評と作品のフィードバック的関係が存在する以上、どのような批評的文脈で作品を位置づけるか、がポイントとなる。「現代美術は知の形である」とする言説の妥当性はさておき、理論に対する反発と言う距離の置き方で作品を作る営為そのものが、ある種の理論的文脈の中でなされている点は否定できない。
値段も手ごろであるし、啓蒙書に不可欠な索引も一応付与されている。80年代以降の批評に関する入門書として読むのであれば、安い買い物といえる。
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