タイトルはずばり「夜想曲」。4枚組の1枚目は「夜想曲の創始者」と考えられるフィールドの夜想曲が15曲収録されている。2〜3枚目はショパンの21曲。そして特典盤にあたる4枚目のCDには総勢9名の作曲家の15曲の夜想曲が収録されている。〜<プレイエル(Camille Pleyel 1788-1855)、カルクブレンナー(Frederic Kalkbrenner 1785-1849)2曲、クララ・シューマン(Clara Schumann 1819-1896)、ルフェビュル=ウェリ(Louis Lefebure-Wely 1817-1870)、エドモンド・ウェーバー (Edmond Weber)、アルカン(Charles-Valentin Alkan 1813-1888)2曲、グリンカ (Mikhail Glinka 1804-1857)、マリア・シマノフスカ (Maria Szymanowska 1789-1831)、ドブジニスキ(Ignacy Feliks Dobrzynski 1807-1867)5曲>
カミーユ・プレイエルはパリでピアノ製造会社を創設したイグナーツ・プレイエル(Ignaz Pleyel 1751-1831)の長男。カルクブレンナーはフランス生まれのピアニスト兼作曲家。1824年からパリ・プレイエル社の役員となっている。ショパンの師の一人としても有名。クララは言わずと知れたロベルトの妻で、ピアニスト。ルフェビュル=ウェリはパリのサン・ロック教会でオルガニストを務めた人物。E.ウェーバーについては生没年も含めて不明。マリア・シマノフスカヤはフィールドに師事した女流ピアニスト。ドジニフスキはショパンとともに勉強したピアニスト。1枚目のフィールドには1823年製のBroadwoodを、次いでショパンの前半では1842年製のPleyelを、そしてショパンの後半と4枚目のオムニバス集では1837年製のEmardを用いて演奏している。
ピアニストはバルト・ファン・オールト(Bart van Oort)。オランダのフォルテピアノ奏者で、1986年にはベルギーのブルージュで開催されたモーツァルト・フォルテピアノ・コンクールで、聴衆特別賞を受賞。録音は2003年。
ショパンがより好んだというプレイエルの方が音が広がっていく感じがある。非常に耳ざわりがソフト。エラールの方は特に高音域で、ときとして(現代のスタインウェイなどとくらべると)出力不足の感じもあるが、それが妙に渋い味わいを出す。オールトの演奏はそのへんのツボをさすがに心得ている。またときおり装飾音を自在に操る。聴きなれたショパンの夜想曲の第2番も「おやおや」と楽しませてくれる。カルクブレンナーの曲は音階がどことなくエスニックな感じ。ドブジニスキはメンデルスゾーンの無言歌っぽい。でもどれも、なるほど夜想曲だな、と思わせる。いろんな角度の興味に応えてくれるアルバムだ。