SFCのSRPG『タクティクスオウガ』の移植版です。追加要素はないようで、この点は残念だと思わずにいられません。でもPSへの移植により、SFC版に比してセーブがしやすくなっています。御蔭で戦闘開始時、戦闘中は言わずもがな、100連戦を強いられる隠しダンジョンでもセーブできます。まとまった時間が取れない人にとって、ありがたい改善点です。背景とキャラのグラフィックはSFC版と全く変わっていませんが、いかにもゲームらしい、そしてゲームでしか出せない、独特の温かみや可愛らしさがあります。(でもキャラが二頭身だからといって馬鹿にするなかれ、動きは意外と細かいのです。) キャラデザには全く癖が無く、良い意味で大人びています。音楽は各場面で効果的に使用されています。覚えやすいものばかりですし、曲単体としての出来も評価できます。戦闘マップには高さの概念、敵味方を問わずに行動の順番が決まるウェイトターン制が導入され、臨場感が出ています。プレイヤーも緊張感を常に保たねばならず、戦術を練る楽しさも増します。難易度は決して理不尽ではなく、独自性も強いです。この意味でゲーム性は抜群です。……この作品最大の魅力は、何といってもストーリーです。民族紛争をテーマとしたストーリーは、先が読めず、最後までプレイヤーを退屈させません。一切理想化されていない人間臭い登場人物は、敵であれ味方あれ、皆、自分なりの思想や信念を語ります。そこには絶対善・絶対悪は存在せず、ご都合主義的展開も有り得ません。民族対立・紛争という問題の複雑さを、改めて浮き彫りにします。今尚現実の世界でも、民族問題が戦争の火種となっています。こんな時代だからこそ、一人でも多くの人に『タクティクスオウガ』をプレイし、民族問題や戦争について、自分なりに考えて欲しいです。そして、この手の妥協を知らない超硬派のゲームが、もっと製作されてもいいと思います。