かつての大賢人ゲドは、70歳になった。妻のテナー、醜いやけどの顔をもつ養女テハヌーとともに、故郷の島でひっそりと暮らすゲドのもとへ、ハンノキという壷直しのまじない師が訪れた。妻を亡くしたばかりのハンノキは悩みを打ち明ける。夜毎の夢で、死の国の境から手を伸ばしてしきりに何かを訴える妻に、ハンノキは言いしれぬ恐れを抱いていた。一方、テナーとテハヌーは、最近また暴れだした竜をなだめるため、レバンネン王に呼びだされてハブナーの王宮に赴く―。
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5つ星のうち 5.0
新しい風,
By カスタマー
レビュー対象商品: アースシーの風 ― ゲド戦記V (単行本)
1月の半ばまで、この本の邦訳仮題は「新しい風」でした。変更されてしまったけれど、上手い訳だ、と思います。新しい、つまり次世代の活躍する物語だからです。ゲドは登場しますが、やや裏方に回った感があります。5巻では、ゲドについては、過去の偉業は伝説扱いです。次世代…レバンネン、テハヌー、そして新顔のトンボとハンノキ、ハイランドの王女は、かつてゲドがエレス=アクベらの伝説を辿りながら困難に立ち向かったように、ゲドらの伝説を辿りながら困難に立ち向かいます。ゲドの旅に次世代から見た意味付けをしていくのです。そのため、以前の巻を読んだ人には、あの場面にはこんな意味が!という謎解きの美味しさがあるでしょう。けれど、新しい読者には…ちょっと辛いと思います。既刊を読むことをお勧めします。余裕があったらハヤカワ文庫「伝説は永遠に3」に収められているゲド戦記外伝も。
35 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
いろいろ雑感,
By
レビュー対象商品: アースシーの風 ― ゲド戦記V (単行本)
私、最初の3巻は日本語訳で読んで、第4巻以降は出版と同時にリアルタイムで英語で読んでいます。で、英語だと4巻と5巻の間に“Tales form Earthsea”があるんですが、あの本はまだ翻訳されていないのでしょうか? あの本の,特に最後の章を読んでおかないと,恐らくこの本は6-7割くらいしかわからない気がするんですが…(岩波しっかりしてくれ)。もう一つは感想ですが: SF作家としてのル=グウィンの特徴というかキーワードは、「文化人類学(的)」と「フェミニズム」だと思います。そのことは、SF作家としての代表作である「闇の左手」を読んだことがある人には、わかってもらえると思います。しかしゲド戦記の最初の3巻、特に第1巻と第3巻は、前者の特徴は色濃く出ていますが、後者はあまり感じられない,非常に男性優位の世界です。個人的には前から,ル=グウィンという作家の全体像から見ると、最初の3巻のほうが,かなり特殊な世界だと感じていました。で,結局,彼女は歳をとってから,Tehanu(帰還),Tales from Earthsea,The Other Wind(アースシーの風)を書くことで,「主人公=魔法使い=男性」という世界を自分の手で解体することになってしまった。それを成熟ととるか,ファンの期待を裏切ったととるかは人それぞれでしょうが,一人の作家としての一貫性・完結性ということを考えると,いわば最初の3巻の世界を包みこむような形で,この本を含む後半の3巻が書かれたのは避けられないことであったと思います。
35 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
新たなるアースシーの世界へ,
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レビュー対象商品: アースシーの風 ― ゲド戦記V (単行本)
不慣れな英語版で読みました。1~3巻で残ったもやもや、そしてさらに追い打ちをかけた4巻。それらがかなり解消されて、胸のつかえがとれたようです。「死と転生」「滅びと再生」「生と性」「世界の循環」「言葉と思い」・・・本来、このシリーズはこの5巻目で完結するのだと、しみじみと思って本を閉じました。ぜひ、児童期に1巻から順番に5巻まで通して読んで欲しい本です。シリーズものなので先の4巻までを先に読まねばならない(単独では世界観がつかみきれない)ハンデを考慮して、星を一つ減らしましたが、全5巻としては星は5つです。邦訳が楽しみです。
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