アーサー王物語と言うと、今までは漠然と一つのまとまった物語であるという認識だったのですが、実際はあちこちの伝承や物語が重なり合いながら、そられがまとまったものがアーサー王物語として確立されているようです。そして、この3部作はタイトル通り、そのサトクリフ版。サトクリフがまとめたアーサー王物語です。
全体としては一つの物語を形成しており、各所に設けられた伏線も部をまたがって形成されるのですが、一つ一つを読んでいくと、各部の印象に大きく相違があり、必ずしも全体を読む必要はなさそうに感じました。
円卓の騎士:
アーサーの出自から円卓の騎士が集い、王国の黄金時代が築かれるまでの話。各章がそれぞれの騎士のクエストを短編集的に綴って行きます。ハッピー・エンドが分かっている部でもあります。
聖杯の物語:
聖杯探求の話ですが、主題はランスロットとその息子ガラハッドの対比。特に、聖性と人間性について、運命に導かれながらも人間性を捨てきれずに聖杯探求に失敗してしまう前者と、聖杯探求を成功させ神に召されてしまう後者の対比が中心のようです。
アーサー王物語の中では、冒険に出かけた騎士たちの多くが失われてしまう、王国没落の始まりを印象付ける位置づけです。
最後の戦い:
王国の終わりの始まりから、いかに王国が崩壊していくのか、そしてその中でも失われないもの、人間性が主題です。1部とは対照的にバッド・エンドがはじめから分かっている内容です。
アーサー王物語の顛末だけを知りたいならば、1部と3部だけを、アーサー王物語を読まなくとも、関連するまとまった一つの物語を読んでみたい人には2部だけを読むことをお勧めします。
全体を知りたければ、もちろん3部作全てを読み通すことをお勧めしますが、そこをあえて2冊で絞めたいという人には、作者は異なりますが、永遠の王、上下巻も良いかもしれません。