十二分に引き込まれる内容でした。
そもそも一人称の小説は苦手なのですが、これはするっと読めました。それぐらい、ストーリーにのめり込んでいきました。
これはアーサー王伝説がなぜ伝説になったのか、ということを一人の少女が語る物語です。
そのなかでアーサー王は偉大で高潔な人物ではなく、その時代ならどこにでもいたある戦隊の隊長として描かれています。彼らの周りにひしめいていた「円卓の騎士」や王妃グウィネビア(作中ではグウェニファー)も同様で、どこにでもいるありきたりな戦士、女性として少女に語られていきます。
といっても伝説を否定しているわけではなく、こういう史実、説があるからそれに基づいて、という小説ではなくてあくまで数あるアーサー王の物語の一つだと筆者は語っています。
そういうスタンスのせいか、いわゆる「伝説の男」を「ただの男」にしてしまったという設定にもかかわらず、彼らが逆に生き生きと魅力あふれるキャラクターになっています。
本当にそこにアーサー殿がいて、少女に寄り添って彼らを眺めているような、そんな幻想的かつ生々しく迫ってくる物語です。
とても面白かったv