中堅フレンチメタラーAdagioによるスタジオ盤としては4作目に当たる本作は、前作以上にバンドの目指す方向性が顕示された充実作となった。さて、本作に収録される楽曲のスタイルは前作同様ダークな様式美プログレメタルであるといえる。しかし、本作にはそれと同時に前作と比べ決定的な違いが見受けられる。それは"自身が掲げる方向性を如何に表現するか"、というアーティストにとって最も重要といえる感覚が、本作は迷いなく非常に洗練されていることだ。前作は高い評価を受けた2作目Underworldのプログレ的なアプローチをオミットした方向転換が多くのレビュアーからマイナス成長と捉えられたと記憶している。前作も前作なりに完成度の高いアルバムであったと思うが、どうしてもヴィジョンが不明瞭であったり、2作目と比べた際の楽曲の淡白さ、完成度の低さが幾らか散見された。
では、本作はどうであろうか?結論からいうと冒頭の通り、バンドの目指す方向性がはっきりとして、楽曲の充実度も非常に高い傑作に仕上がった。正直なところ、前作と大きく相違する点はそれほど見受けられないのが現実である。しかし、再三繰り返すようだが本作の楽曲には迷いが見られない。とにかく聴いていて気持ちいいのだ。バンドの持つポテンシャルを躊躇なく発揮することによって出来上がった、正にマスターピースと呼ぶに相応しい出来だろう。
新加入のメンバークリスチャン・パリン(-Random Eyes)も堂々とした歌唱を披露しており、前任者に全く引けを取らないし、ステファン・フォルテのデスヴォイスも楽曲にマッチしている。是非ともSymphony XやDIvinefireなどのファンにも手にとって欲しい一品だ。