岡田シェフ、その柔かい表情からは想像しがたい、実は過激な方なんでしょうか。
お菓子に対するアプローチは、イデミ・スギノの杉野シェフと同列に考えるべきか。
本書は、伝統的なフランス菓子を伝統的な方法で作ることを良しとしている向きには
「ちょっと違うんじゃないか」、と言われかねないレシピもあります。
たとえば卵白を泡立てて作るフィナンシェは、「それはヴィジタンディーヌでは?」
という風に。
もちろん、パリでの修行中に知ったと逃げ道は作ってありますが、これに限らず結構な
“常識はずれ”が見られます。だから、常識や基本にこだわる人には、もしかすると
向かないかもしれない。それらを自分の中に取り込み、それをあえて逸脱すること
からクリエイションは生まれる・・・とする人には、大変よい教科書になると思えます。
なんせ、こういう結果にしたいからこうするのだ、としつこいくらいに細かく書いて
あるのだから。
普通に考えると、そんな企業秘密をこんなに書いちゃっていいのか、という気にも
なるのですが、冒頭にある、「プロセスの端々に書かれたことが、プロの方または
アマチュアの方にとってのヒントやサジェスチョンになれば、望外の喜びです」という
一節が語る通りなのでしょう。とにかく個々のお菓子の製造過程はものすごい臨場感
があって、手取り足取り教えてもらっている感覚。シェフが何かと“出演”しているのも
お茶目な感じで楽しい。
先入観はあまり持たず、素、な立ち位置でぶつかってみれば、必ず得るものがある
本だと思います。激しくオススメ。