2011年4月時点で出版されている3種類の小説『アヴァロン』には、本文に脱字などの微妙な違いがあります。
(ここからは便宜上、出版された順に『原著』『文庫版』『完全版』と呼びます。)
終章でカバルが特Aで目覚める場面、『原著』と『文庫版』では
「〜目を開けると、しかしそこは〜」
となっているますが、『完全版』の初版264ページ5行目では
「〜目を開ける。しかそこは〜」
になり、文の違いと脱字が見られます。
推測ですが、「〜目を開ける。しかしそこは〜」にしたかったのだろうと思います。
作中でカバルが目覚める最初の場面、『原著』と『文庫版』では
「〜惨めな肉体に相応の無残な自分が忘れられていた記憶のように蘇ってくる。」
とありあますが、『完全版』では
「〜惨めな肉体に相応の無残な自分が、忘れられていた記憶のように蘇ってくる。」
と読点があります。
冒頭にアヴァロンの説明がされますが、『原著』では
「〜その戦技を競う。」【改行】「戦闘は任意に〜」
と改行がありますが、『文庫版』と『完全版』では
「〜その戦技を競う。戦闘は任意に〜」
と改行がありません。
他にも違いがあるのかもしれませんが、私にわかったのは以上3箇所だけでした。
念のために記しますが、私が所有する『完全版』は初版です。もしかしたら2版以降が存在して修正がされているのかもしれませんが、そのような『修正版』がないという仮定でのレビューあることをお断りしておきます。
『完全版』は、飽くまでその帯に括弧付きで「完全版」と記されているだけで、作品のタイトルに括弧無しの"完全版"の文字があるわけではありません。読み難い文に句読点を入れたり、あとがきを加えることで「完全版」としたかったのではと想像しています。
しかし、脱字があるのに曲がりなりにも「完全版」を謳うのはどうなのでしょうか?
追加エピソードなどの大幅な加筆がないことは事前に知っていましたが、「不完全版」、というか「劣化版」であったのは結構ショックでした。
私が初めて購入したのは『文庫版』で、次いで『完全版』『原著』を買いました。
この作品は大好きなので何度も読み返しています。銃弾の口径や銃の名称を詳しく調べたり、PCゲーム「ウィザードリィ」をプレイしてから読み直すと、より世界観を楽しめました。
3種類を読み比べた結果、先に述べた違いの他に、文字の大きさや間隔、書体などが最も評価できるのは『原著』でした。『文庫版』は脱字はありませんが、文字間隔や行間隔が狭くて読みにくかったです。
現在、新品で購入可能なのは『完全版』のみのようですが、中古でも構わない方には『原著』をおすすめします。
以上の理由で、本当に残念な思いでいっぱいなのですが、評価は★★にさせていただきます。