「1968年」の日本を舞台にした青春ドラマ。実在の3人の若者を軸に、
これまた実在の事件をからませて物語は進行するが、もちろん「真相」
ではないし、それを語ろうとしているわけでもない。
「一発逆転」なんて出来ないことをうすうす感じながらも、「ピストル」や
「原爆」や「革命」によって目先を変えようとする若者たち。原作者は、
ともすれば「俺たちの時代」と甘く感傷される十把ひとからげの時代観を
スルーして、より濃やかな陰影をもつ3人の人物に寄り添ってみせた。
また、本作のために新境地を開いた作画家の、稠密な伽藍もすばらしい。
『「彼女たち」の連合赤軍』の大塚と、『犬狼伝説』の藤原が出会うべくして
出会って生まれた本作は、石川啄木の歌を伏流水に進行する。
人といふ人のこころに/一人ずつ囚人がゐて/うめくかなしさ