アンネの日記を幼いころ読み、再び読み返すことはなかったが、
本作を読んで、再び読み返そうと思った。
アンネの文学的才能に敬意を表し、彼女の死を心から
悼んでいる小川洋子が、アンネの記憶をたどる旅をする。
アムスにある一家の隠れ家、ドイツの生家、
アウシュビッツ…
また、旅の途中では、生前のアンネを知る貴重な人々に
インタビューをする。アンネの親友、そしてアンネ一家の隠れ家での
生活を支えた婦人。
小川洋子の視点から語られたその記憶全ては、美しく、生き生きとして、
またとてつもなく悲しい。ところどころで感じる静寂さの中に、
かつて生きていた人々の息遣いまでもが聞こえてきそうなほど。
読んでいる間、著者とともに旅をしていたような気分に。
そしてその導き手が小川洋子であったことに、心から感謝。