他のレビューの方が書かれている最後の収容所シーンですが
大体十数ページくらいです。
頭を刈られたアンネはショートカットの少女の描き方をされています。
そんなに絵柄的に残酷な描かれ方ではありません。
むしろ未来を断たれた少女の切なさが感じられます。
この本はアンネの収容所生活よりもそれ以前の学校生活や潜伏生活に重きをおいています。
だんだんと生活も世界も狭められていく世界の中で必死に生き
自分の思いを夢を一冊の日記に描く少女の姿。
人種差別と恐怖政治の無残さの中で必死に生きる少女の姿が描かれています。
これをフィクションとするか否かはともかく
(現に日記は存在しており、アンネの興味で書かれた部分が秘匿されて
お父さんの死後、完全版で日記が出版されるあたり虚偽の日記とは思えません)
今でもこういう事態が世界のどこかで起こっている事、
チベット、ウィグル、パレスチナ、それだけではない。
沢山の子供達が無残な状況におかれているのです。
そんな人々がこの世にいるのだと、読者に教えてくれる本です。
(内容的に中高生向きかもしれませんが)
私の幼かったころ、四半世紀前の小学校の図書館には
原爆やアウシュヴィッツの凄惨な写真集が置いてあり、
私は恐ろしいと思いながらも戦争と追い込まれた人間の悲惨さを憶えました。
どんなに辛くてもそれは過去にあった事実です。
そこから私は自分で歴史を調べることを憶えました。
戦争や民族紛争には理由がある事がわかりました。
けれど事情を知らない子供達や人々が苦しむのも事実なのです。
今の学校ではそれを教えていないのでしょうか。
そう思うと哀しくなりました。
21世紀になって忘れさられようとしているアンネのお話ですが
ほんの少しだけでも頭の片隅に置いておいてほしいお話です。