第二次大戦後、小さすぎるオーバーしかないアンナに、お金のないお母さんは、大切にしてきた品物と次々と交換し、約二年かけてクリスマスに赤いオーバーを買ってあげます……。
画家のローベルさんはポーランド生まれなので、実話をベースにしたこのお話の舞台は東欧のどこかでしょうか。負傷兵、亡くなった父親らしき人(?)の写真、全体的にさめた色合いの絵と、ベースには悲しみがあふれているのに、アンナのオーバーが、希望への道しるべのように物語を引っ張っていきます。
東欧・北欧には『もぐらとずぼん』、『ペレのあたらしいふく』のように物作りを描いたものが多いようですが、ここでも、どんな材料でどんな人達の手でオーバーができるのかがよくわかります。自分のネックレスや美しいティーポットなどを交換していくお母さんの姿には、胸が打たれます。そして、待つことのできるアンナもえらい。さらには、服を作ってくれた人たちへの感謝が最後を飾り、人はこうやってつながっていくのだと思わされます。
前の見返しと後ろ見返しでは、アンナがどんなに成長したかよくわかり、大きくなった体には、優しく強くなった心も入っているのでしょう。いつまでも胸に残るクリスマス絵本の一冊。