「なぜオーストラリアのメルボルン公演!?」「ロンドンのオリジナルキャストのラミンもシエラも出ていないのを、何故わざわざ映像化!?」と謎がいっぱいのまま購入したわりに、実際に見たら、すんなり納得。
(私は、ロンドンのオリジナル公演を一度見ました。以下、ロンドンオリジナルとの比較になります。CDを聴いたことのある人の方が、わかりやすいかもしれません。)
まず、ロンドン公演の舞台と、演出が違います。大筋はもちろん同じなのですが、衣装や装置も別物。演出は、ロンドンも途中で変更があったようなので、その変更後のものをメルボルン公演も使っているのかも。(私が見たのは、ロンドンのかなり初期の演出です。)
ロンドンの装置も大がかりで、テクノロジーを駆使して派手に展開して見栄えがしますが、あれをそのまま映像化しても、ナマで見た時の「おぉっ!」という感動にはならないかも。その点、このメルボルン公演は、最初から映像化を前提にデザインしたのかな、と思うくらい、映像でも見栄えがします。映像向きの派手さがある。ちょっと演出過剰なくらいで、好みは分かれるところだと思いますが、映像向きであることは確かです。
それから、細かいシーンの演出もところどころ違うのですが、たぶん最後のシーンの演出が一番違います。私も記憶が曖昧なのですが、ロンドンのオリジナル公演を初めて見た時、最後のシーンに違和感を感じました。その違和感が、このメルボルン公演でかなり解消されました。ロンドンの新演出なのか、このメルボルン公演のオリジナルなのか、細かいツッコミどころは多々あれど、とにかく最後は、この映像版の方が違和感は残りません。(ネタバレになるので、あまり書きませんが。)
自分で一番驚いたのが、物語が『オペラ座の怪人』の続編の物語として、すんなり納得できたことです。ロンドンのオリジナル公演のCDや実際の舞台を見ると、どうも一部の登場人物の人格の変わりっぷりに違和感が残ったのですが、映像で見ると、さほど違和感もなく、すんなり入ってきました。そもそも私は、『オペラ座の怪人』のこの続編は蛇足だと思っていて、「続編」として考えたくなかった。全く別物のミュージカルだと思って見ることにしていました。でなければ、最初の『オペラ座の怪人』を、もう前のような感動で見られなくなってしまう(>_<) それくらいに思っていたのに、この映像だと、「続編でもいいかも」と思えました。俗っぽいストーリー展開はともかくとして、私の中で、各キャラの人格が前作と少しつながりました。演出のせいなのか、映像だと各自の表情のアップなどがあって心の動きが見えやすくなるか、とにかくつながりました。
アンドリュー・ロイド・ウェバー自身がこの公演に全面的に協力したようですが、それも納得です。
歌は、もちろん出演者全員文句なし。ロンドンオリジナルに負けていないと思います。キャストは、ファントム/ベン・ルイス、クリスティーヌ/アンナ・オバーン。私の好みで言えば、映像はこの二人で良かった。ロンドンオリジナルのシエラ・ボゲスのクリスティーヌは、すっかり妻で母親になった大人のクリスティーヌですが、アンナ・オバーンはどこか昔の少女っぽさを残すようなクリスティーヌ。そこも、私には続編として納得しやすかったです。
曲はもちろん素晴らしいです。ただ、歌詞がいただけない。CDで聴いた時も呆れましたが、こうして日本語字幕できちんと読んでいても、やっぱりイマイチ。元の歌詞もひどいですが、日本語訳もさらに別の違和感を感じます。元の歌詞のヤボったさをカバーしてくれるくらいのものであってほしかった。
前作『オペラ座の怪人』をこよなく愛す私は、この続編のストーリーはイマイチ受け入れがたいものだったのですが、ロンドンオリジナルのCDを聞いた時や実際の公演を見た時の変な違和感や衝撃が、この映像でかなり緩和されました。
「よけいな続編を作りやがって(-_-#)」と、CDを聴いて違和感を感じた人に、むしろこの映像はオススメしてしまいたいです。