原著のフランス語書名にあるように、福祉国家の類型論で日本でもよく知られるエスピン=アンデルセンの考え方を易しく読める「三つのレッスン」です。女性(就労などの問題)・子ども・高齢者と、すべての人々にとって重要なテーマですが、とりわけ女性には避けられないテーマばかりで勉強になります。ヨーロッパを中心に各国の制度を比較している(各国の重点の違いもよく分かります)のはもちろん、例えば、女性の就労が進むほうが福祉社会の維持によいとか、見過ごされがちな就学前の子どもの様々な機会の格差に注意を喚起したりと、重点を絞った具体的な指摘があります。ただ一点、著者自身の出身国であるデンマークの制度の評価が高い印象を受けたのは、やむを得ないのですかね?日本の福祉との比較の議論に直結させるよりも、ヨーロッパの福祉に対する考え方を学ぶために、大学のゼミなどでグループで読むとよい本だと思います。