上巻(378ページ),下巻(345ページ),合わせて723ページに渡る壮大な内容を読み終えて感じるのは,経済界でも研究・教育の世界でもスポーツの世界であっても,とんでもない逆境を乗り越えていると言うこと,その苦労が人を育て,一流といわれる人を創るのであろうこと.インテルを世界一流の企業に育てたのは,ノイスではなく,ムーアでもなく,やはりグローブであることはこの書籍から読みとれる.勿論,グローブ一人の成果ではないのだが,インテル躍進の核になっていたのは間違いなくグローブであろう.
書籍の中で,グローブが最も読んで欲しい一冊上げるとしたら下記である,と述べている.
Christensen, C.M.(1997) The Innovator’s Dilemma 'When New technologies Cause Great Firms to Fail, Harvard Business School Press.(玉田俊平太監修,/伊豆原弓訳『イノベーションのジレンマ 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』翔泳社,2001年)
ハイテクビジネスとそれに関わる多くの企業のジレンマはこの書籍にも集約されているように感じるが,インテルはこのような苦境を乗り越え今日があるわけである.インテルでさえ,幾度にも重なる苦境を乗り越えてきた事が本書から読みとれる.それを乗り越えるには,強じんな精神力を持つリーダーの存在は欠かせないわけだ.
下巻では,グローブの半導体や経営に関わらない部分,特に前立線ガンに冒された事実や,パーキンソン病にも冒された事実(この事実は本書が初めて明らかにしている)が記されている.公私共々,世界屈指の企業のトップが如何に大変か,それを知る上でも非常に貴重な書籍と言える.