雑誌「PURAS1リビング」に連載されていた文章とイラスト・写真を、加筆しまとめたものとのことです。
銀製品の製作方法やデザインの節目になった時代の裏側に何が起こったのか、時代を代表する・或いは時代の仕掛け人となった人々の紹介と共に語られてゆきます。歴史の苦手だった私は、思わず「学生時代にこの本に出会っていたら……」と、思ってしまいました。それほど生き生きと人物像が語られ、銀器の変遷もとても良くわかります。
各章の初めに描かれた人物画は、肖像画や写真などを参考に描かれ、彼・彼女らがその時代に持ち込んだ銀器を用いた流行も語られます。初めてアフタヌーンティーの習慣を英国に持ち込んだプリンセス、フランス革命の際に失われた多くの名品、当初は王侯貴族のステイタスであった銀器が、産業革命以後、中流階級をも魅了してゆく様子など、歴史と照らし合わせれば、銀器の変遷も納得がゆくのです。
巻末には、簡単な欧州と銀器・日本の歴史年表が載っています。
この本はあくまで銀器に焦点を当てているので、余り深く触れていませんが、日本と欧州の関係でいえば、東インド会社を通じての伊万里焼とマイセンの関係も思い返されました。