とはいえ、決して堅苦しい内容ではない。むしろ、ある種娯楽としても読めてしまうほどサービス精神にあふれた内容となっている。アンチパターンの根本原因を「無精(Sloth)」、「強欲(Avarice)」といった、キリスト教の7つの大罪になぞらえていたり、各アンチパターンの名称についても「肥満児」、「溶岩流」、「地雷原」、「暗室栽培」と、特徴をとらえたユーモラスなネーミングが付されたりしている。これは訳者の手腕によるところも大きいのだろう。
本書は大きく分けて「アンチパターン入門」、「アンチパターン本論」、「まとめと参考資料」の3部から構成される。核となるのは実際に各アンチパターンを紹介していく「アンチパターン本論」だが、ここではソフトウェア開発、ソフトウェアのアーキテクチャ、プロジェクト管理の各フェーズに分けることで、体系的に紹介すると共に、あらゆる局面でアンチパターンが発生しうることを暗示している。各アンチパターンは名前、別名、頻出スケール、再構想解の名前、再構想解のタイプ、根本原因、対応不全の圧力、挿話証拠によって記述される。その科学的な分析は、内容を明快にすると同時に昆虫図鑑を見ているかのような愉快な錯覚を読者に与える。
楽しみながら読み進めていくと、ここで紹介されたアンチパターンがいずれも自分のプロジェクトに起こり得ることに気づくだろう。そして、開発過程を思い返し、再確認を行うときにも役立つ。娯楽性と有用性を兼ね備えた好著だ。(大脇太一)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
失敗例カタログ,
By cxj01155 (横浜市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: アンチパターン―ソフトウェア危篤患者の救出 (単行本)
アンチパターンとは変な言葉ですが、要は失敗例カタログです。失敗例がいくつもあるわけですが、ソフトウェア開発に携わった人なら、読み進む毎に”あったあった”と頷くことでしょう。 一番わかりやすいのは”スパゲティープログラム”です。そう、あなたが思うそれです。 この本のすごいところは、その問題の事象を正確に示し、更に問題が生まれる過程から問題の本質を分析し、解決策を探っている点です。 いつも同じ失敗を繰り返す我々には、この努力が必要ですね。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
身近に置いておきたい一冊,
By
レビュー対象商品: アンチパターン―ソフトウェア危篤患者の救出 (単行本)
いわゆるソフトウェアパターンは、優れた成果物を生み出すにはどうすればよいかを記述したものですが、アンチパターンはその逆で、ソフトウェア開発において頻繁に起こる典型的な失敗例、まずい設計例を示したもの。ソフトウェア開発を阻害する代表的要因とそれを取り巻くパターンが記述されています。開発時に行き詰まりを感じたりフラストレーションを感じたときに読むと肩の力が抜けると同時に、改善のための手がかりが見つかることも。ユーモアとウィットにも富んだ内容になっているのでぜひ身近に置いておきたい一冊。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
面白くて勉強になります,
By
レビュー対象商品: アンチパターン―ソフトウェア危篤患者の救出 (単行本)
ユーモラスな表現で書かれていますが、書かれていることは深く、実は深刻な問題です。実際にはここに書かれているように解決へと向かうのは難しいことも多いでしょうが、問題が認識出来るかどうかがまず重要なので、自身のプロジェクトの問題発見に役立てればそれだけでも十分意味があるでしょう。ただ、前置きが少し長すぎるような気がしました。それが無ければ満点なのですが・・・。
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