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32 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
村上春樹の珠玉のドキュメンタリー:誰にでも語るべき物語はある,
By
レビュー対象商品: アンダーグラウンド (講談社文庫) (文庫)
こんな本はほかに存在しない。地下鉄サリン事件の被害者一人一人の証言が言葉の通り掲載されているのである。作者は徹底して自分の考えや意見、考察を挟むことを否定し、ただ綿々と生の言葉が続くのである。被害者の方々は同じ朝、同じ駅に居合わせたわけなので、少しずつは異なりながらも何度も同じような話が出てくる。それでも一人一人が抱える個人的背景が違うので、この事件がどういう影を落としたのかは人によって違うのだ。どうしてもページを繰る手を止めることができない。何度も涙を流しながらついに最後まで読み終えて思うことは。 人間の人生は一つしかない。
71 人中、66人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
人間の顔,
By 祐RN (合衆国ペンシルベニア) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: アンダーグラウンド (講談社文庫) (文庫)
あの時私は東京郊外でがんの看護師をしていて、昼休みにテレビでニュースを見た。私の勤めていた病院の関連病院にも被害者が運ばれ、そこの研修医にも被害者がでたと聞いたし、テレビには現場の人々の様子が映されている。 しばらく経って、娘さんが被害者でまだ昏睡状態だという人が私たちの患者さんとして入院した。彼らに出会うまで、私があの事件を本当に誰かの身の上に起こったことなのだと本当に理解していなかったのだということがわかった。 ニュースで事件を見るというのはそういうことだ。判った気になる。が、本当の人間の顔は見えてこない。村上さんがしたのはその人々に顔を与えることだ。こういう事件の本当の姿というものは、個々の人間の経験の中にある。 その後その患者さんは退院されて、娘さんがどうなったのかは聞いていなかった。「アンダーグラウンド」を読み進めるうちに、ここに仮名で出てくる女性の一人がその娘さんだとわかった。生きて、がんばっておられるんだ。涙が止まらなかった。 私は英語版で読んでいて、英語版にはこの続編(日本語のタイトル??)、オウムの側に焦点を当てたレポートも一緒に収録されている。冒頭のカルトに関する考察、秀逸。
14 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
読まなければいけない本なのか,
By するめいか (さいたま) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: アンダーグラウンド (講談社文庫) (文庫)
あるいは一気に読み勧めるのはつらいかもしれない。62人。ひとりひとりのインタビューで、人々は同じような話(真実の話)を語る。どうしても似通ったものになる。しかし、それでも(他の本を読みながらだけれど)三日で読んだ。インタビューでは生の被害者の言葉が語られる。たぶん、こういうことが僕らがやらなければいけないことがある。物事には具体的なものと抽象的なものがある。たとえば、福田和也は広島の原爆で被害にあった人が言わなければならないのは『世界平和』や『核開発反対』ではなく、『被害にあった悲しみや痛み』である、という。つまり、そういうことだ。 そして考えなければいけない。インタビューを読んで、そして、村上春樹の意見を聞いて、あの事件はなんだったんだと、すべての人間が考えなければいけない。ビルに飛行機が突っ込んだ→大変だ、人質が解放された→よかったね。これは思考じゃないですから。
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