アンコール・ワットのみならず、バイヨンやアンコール・トムなど中世クメール王国の遺跡発掘に関する興味深い読み物です。かつて「インドシナ」を植民地として侵略支配していたフランスの学者がものした本だけあって、発掘当時の写真や想像復元図など他書には見られない珍しい図版がたくさん掲載されている点が本書の大きな特徴となっています。とくにバプーオンの復元図は現地に展示してあるものと同じ単色線描画ながら、現在残されている姿からはナカナカ想像のつかない程に見事な図版となっています(もちろん上部構造の詳細が本図の通りだったという保証はないのですが)。ともあれ、内戦前のアンコール遺跡の状態をヴィジュアルに図示してくれる貴重な一冊である事実に相違はありません。監修者の解説文も読者の理解を助けてくれるので、本シリーズの中でもかなり良心的な本だと言えましょう。
関心のある方や、これからカンボジアへ旅しようと考えている方には是非とも一読をオススメいたします。