ブルージーでゴスペルタッチなピアノが特徴のジャズピアニストがレイブライアントだ。1972年のモントルージャズフェスティバルでのピアノソロライブと言う点が本作の売りだ。静まりかえった大観衆を前に、一人ステージでピアノに対峙する。全身全霊を賭けた集中力と溢れ出るエネルギー。とてもたった一人のプレーヤーが演奏しているとは感じられない程に、ブライアントの両手から紡ぎ出される音の洪水に圧倒される。ライブの滑り出しは静かで厳かではあるが、曲が進むにつれてどんどんプレーヤーの興が乗ってきてイマジネーションが広がっていくのが手に取るようにわかる。それに答えるかのように聴衆の反応もエキサイティングに盛り上がってくる。額に吹き出る汗の拭おうとせずにひたすら集中力を高めていくブライアントの姿が脳裏に浮かんでくる。ライブらしい生の高揚感を感じさせるニクイ構成と成っている。曲と曲の間に入る彼の語りが、リラクゼーション効果を高める役割を果たしいているのも良い。あのライノからのリマスターリイシューなので、音質は格段に向上し、パッケージングも美しい。変化球ではなく、伸びのある生きの良い直球を投げてくる投手を見ているこのように痛快だ。この音の中にジャズの本質のある部分が絶対にあるに違いないと感じさせてくれる。リスナーの感動を呼ぶ貴重な名ライブだ。