もっとも印象的なシーンは、映画のラストでモニカ・ベルッチが優雅に午睡をしている姿である。今後、自分に襲い掛かってくる奈落の底に突き落とされる地獄も知らずに。
映画に何を求めるかで、評価は変わってくるのだろう。しかし、優雅で幸福な者が、そのまま順調に生きていくストーリー、不幸な者がより不幸になるストーリーでもなく、ある日、幸福な者が奈落の底に突き落されるドラマティックなストーリーであることには変わりない。
私は映画として十分に成立するテーマであると思う。しかし、この映画に対する酷評は意外に多い。
おそらく、地下の路上でのレイプシーンがあまりにも生々しく、惨たらしいので、鑑賞するのに耐えられなくなってしまったのかもしれない。たしかに映画館でカップルで観るものではないかもしれない。
しかし、この映画は観る者を惹きつける。
路上でアナルをレイプされ、鼻骨を骨折するほど殴りつけられ顔面血まみれになったモニカ・ベルッチ演じる主人公は、重傷を負ったが死んだわけではない。
映画では、特段、触れられていないが、彼女の人生は今後も続くのである。
理不尽な理由から、精神的・肉体的に傷つけられる者は、世界中に数知れない。
その残酷さ・理不尽さから目を背け、口当たりのいい教訓だけを選ぶのもいいだろう。しかし、そのような価値観から、理不尽な世界を描く本作品を批判するのはいかがなものか?と思ってしまう。