「興亡の世界史」第2回配本はアレクサンドロス大王の東方遠征とその最中の出来事を中心にした巻です。しかし単なるアレクサンドロス大王の伝記でなく(東征以前のことで1章分ありますし、東征の概略は書かれていますが)、最近の研究動向をもとにアレクサンドロスの帝国とはどのようなものだったのかをまとめ、ヘレニズム時代を古典古代から連続した流れのなかで見ようとしたり、ギリシアとオリエント世界の関係の中にアレクサンドロスとヘレニズム世界を位置づけようとする本です。
ヘレニズム世界においてギリシア文化はそこに存在する色々な文化の一要素であることや、ヘレニズムという概念の問題点についても改めて示されています。そして、後継者戦争を経て諸王国ができる過程で諸将たちがアレクサンドロスの名声・権威を利用したために彼の名が後世に残されたという指摘はなかなか面白いと思います。近年の研究成果をもとにしたアレクサンドロス大王やヘレニズム世界についての入門書としてお薦めできる本です。