本書の内容は、アレクサンドリア二千年の歴史。ただし、本書はあくまでガイドブックとして書かれたものである。それでも、さすが20世紀イギリスを代表する小説家フォースターだけあって、筆力は確かなもの。しかも、ケンブリッジでは歴史を学んでいたのだから、簡潔で要を得た内容となっている。
フォースターがアレクサンドリアを訪れたのは、第一次世界大戦中。根拠のない殺し合いをするのが嫌で、この地の国際赤十字社に職を得てのこと。もともとアレクサンドリアに興味を持っていたわけではない。しかし、この地で恋愛をし、そのことによって、この地が重要なところとなり、長い滞在となったらしい。
フォースターは旅そのものを愛しており、ほかにイタリアやインドも訪れ、それぞれを舞台にした小説を書いている。ただ、アレクサンドリアを舞台にした小説は書いていない。著者のアレクサンドリアに関する作品としては別にエッセイ集『ファロスとファリヨン』(みすず書房の著作集では『ファリスとファリロン』)もある。
その代わりというのは変だが、ローレンス・ダレルが本書に霊感を受け、『アレクサンドリア四重奏』を書いたそうだ。