ブラウン管のSD画質で見ることを前提に作られた作品なので、ブルーレイ化という言葉に少々引っかかりを感じました。
しかし、スクリーン上映ではなく、家庭用のHDテレビでの視聴を前提に評価を付けさせていただきたいと思います。
35mmフィルムからのテレシネということで、2010年版のDVDBOX収録時に使用したデータと同じものを使っていると思われます(正確にはDVD版はダウンコンバートしてありますが)
なので予算の都合が合わないからは2010年版のDVDBOXでも構わないと思います。
放送版との違いについて、簡単に申し上げます。
まず、TVに映る範囲が違います。放送当時は16mmフィルムを使っていました。35mmフィルムを16mmに変換するとき、若干ではありますが、画面の端っこが削られます。
更に、当時から近年に至るまでのアナログテレビには、安全フレームというものがありまして、10パーセント前後、映像の端っこが削られていました。
そのため、今回のBDとTV版では、映像の表示されるサイズが若干違います(これによって映像の印象が変わる部分も多少あります。)
当時のレイアウトは、放送時に削られる部分ではなるべくキャラクターが演技をしないように描かれているので、通常映像のダイナミックさは失われます。
しかし、流石宮崎駿監督のレイアウト能力!安全フレームがなくても、バランスよく画面が構成されています。
やはり映像の印象は若干変わりますが、それはそれで味があります。
映像畑の人間である自分としては、16mmのグレインの強い、全体的にぼやけた映像は好きなのですが、高解像度でも耐えうるクオリティーの作品です。
(作画用紙のサイズがHD用より大分小さいため、線画をぶらして見せる表現や、簡略表現を使ったカットは16mmの旧DVDBOXの方が自然に見えるかもしれません)
まあ、長々と映像の話を書きましたが、本編を見ているうちに画質のことなんて考えてる暇がないくらいに、物語に引き込まれていきます。
オンジの家に来て新生活に戸惑うこともなくポジティブに暮らしていくハイジ、原作よりとっても感情豊かなペーター、私が子供の頃から今に至るまで許せない宿敵、デーテおばさんとロッテンマイヤーさん、そしてハイジと正反対なクララ。
この色あせない素敵な物語をもっと若い世代に見ていただきたい。
友達にハイジの話をすると、「最終回でクララが初めて立って、ハイジが「クララが立ったー!」って言うんだよね」などと言われますが、私は「それ全部違うよー!」と反論します。
クララが初めて自力でたったのは第48話で、最終回の5話前だし(それを置いておいて有名なシーンも最終回ではないですね)、「クララが立ったー」という単体のセリフもありません。(ここまで細かく言うと引かれることもありますが)
TVの名場面集でしかハイジを知らない人がとても多くて少しさみしいです。
折角HDリマスターしたんだから民放で再放送していただきたいです。