バカラックが稀代のメロディ・メイカーであるとともに、卓越したアレンジャーであることはいまさら語るまでもないことだが、その真髄をまだ知らない方には是非お薦めしたいアルバム。安価であり、しかもメジャーどころの名曲はほぼ網羅されている。
数々のアーティストによるトリビュート・ナンバーに触れたければ、「Sweet Melodies」や「80周年記念スペシャル」をお聴きいただくのが宜しかろうが、何枚組にもなり値もはる上に、カバーしたミュージシャンの味が色濃く出た結果、もともとの味わいが全く残らない曲も残念ながら散見される(そのミュージシャンのファンならば構うまいが)。そこで、これである。バカラックの匂いがそのままに伝わる彼自身のサウンドをお聴きいただける。それは「Close to you」や「Raindrops keep fallin' on my head」といったヴォーカル・ナンバーの印象が強いナンバーでも例外ではないし、きっと「バカラック作品として」満足できる筈だ。
「喫茶店のBGM」では片付けられない、深い味わいをもったポップスは、決して60年代の流行曲に留まる事はない。LPを買いまくっていた時代からの自分の愛聴版として、一聴に損なしと断言できる。