実は、読む順番が逆だったようで、先に『証券投資の思想革命』を読んでから本書を
読むのが、時間軸に沿った自然な流れらしい、と気がついたのは、読み始めてから。
まあ、それはさておき、すごい本だ。さすが、バーンスタイン。『リスク』も、壮大な
人類と天才の英知の奇跡の物語でしたが、本書は、金融工学の黎明期に活躍した
有名人と投資会社、証券会社を取り上げて、インタビューを交えながら、いかにして
現代の金融工学、特にファイナンスの革新的な進歩(?)がなされたか、を解き明かして
いきます。
本書のはじまりは、意外にも、行動ファイナンスという、数理工学というより
は、合理的意思決定にはじまる、人間の意思決定にまつわる話から幕を開ける。
そして、サミュエルソン、ロバート・マートン、シラーなどの現代投資工学の基礎を
開いた有名人の話しを経て、リスク、リターン、CAPMにはじまり、アルファ、ベータ、
デリバティブズ、有効フロンティアなどの投資理論につながる数理金融工学の有名人、
ブラックショールズのマイロン・ショールズ、
シャープなどなど、彼ら、神にめでられし「特異な才能」を発揮し、よくも悪くも
金融資本主義の膨張に影響を与えたであろう、人間の叡智を詳細に読み解いていきます。
バーンスタインは、金融工学の理論的発展に焦点を当てていて、コトの善悪や、結果的に
金融システム、金融資本主義の暴走で世界的な金融危機を招いた、というような価値判断には
あえて言及を避けています。だからこそ、自然科学以外に、数理工学的な方法を極限まで
応用した、壮大な市場での実験に至る、人間のある意味、果てしない知的欲望の影を
感じて、大変興味深い内容となっています。