よくありがちなサラリーマン4人家族の崩壊、それが見事に立ち直るヒーリング・ヒューマン・ドラマ。テーマは「愛」である。 家長は相川文雄、46歳。A大の通信教育卒、都内の小さなリース会社に勤める。見てくれは冴えず、煮え切らない、うじうじした卑屈さで甲斐性なし、出世から見放される。通勤鞄は入社以来、コートは20年着古し。趣味は現実逃避の「女装」して街を徘徊。そして会社からは退職金8百万円でリストラに。妻は志穂、43歳。身の程わきまえず、セレブ気取りでブランド品の買いあさり。当然にクレジットカード地獄で、家庭での言動・姿は男女判明不能な状態になっている女性。長男の卓は中学生で、不登校10か月の引きこもり、食事を自部屋に運ぶ。その妹コトニは小学生で、外でふらつく癖が始まり補導が2回。今の時代によくありがちな家庭だ。前半の家庭の描写がとても面白く文章がうまい。ゲイバーのママの占いで心機一転、北海道の伊達市に移住。そこで印崎学という遺跡発掘を行うパナマ帽の紳士と出遭い、この家族の変化が徐々に始まっていく。圧巻は最後で、この紳士が何者かがわかってくる。正直言ってとても感動したし、本当に読んで良かったと思った。本書はカウンセリングとヒーリングを効果的に出し、読者自身の気持ちが楽になり精神的に癒される。人間にはかけがいのない家庭があり、血の通う合う家族がいることが最も大切なこと。一番悪いのは何も口にしない、行動もしないことである。過去を水に流し、現在を賞賛し、未来を応援することで人生をうまく乗り切ることだ。著者が遭遇した悲劇の実体験があることからこそ説得力が十二分に生きるのだろう。