原題は”Mission Kashmir”。
カシミール地方は,かつて「地上の楽園」と言われた風光明媚な土地であったにもかかわらず,パキスタンとの国境紛争,つまりがイスラム教徒とヒンドゥー教徒の争いのために,外国人にとっては現在ではまず足を踏み入れることができない土地です。
多宗教国家であるインドには避けて通れない宗教問題ですが,おそらく日本人にはあまり馴染みがなく,この問題が孕んでいる危険を理解するのは難しいかもしれません。
特に,通常の生活の中では,宗教が違えどもお互いに尊重し合っている人々が,あるきっかけで暴徒と化す怖ろしさを知らなければ,登場人物が何のために戦うのか掴みにくいかもしれませんね。
このように,宗教問題を題材として取り上げてしまっているため,恋愛や家族愛を扱ういわゆる娯楽作品とは一線を画す作品になっていると思います。
それでも,今若手トップのリティック・ローシャンとプリティー・ジンタのコンビは輝いていますし,なんと言っても素晴らしいのはサンジャイ・ダット!!サンジャイ・ダットと言えば,公私ともに「不良」のイメージが強かったのですが,この映画では強さも弱さも兼ね備えた責任感のある男を見事に演じています。
プリティー・ジンタたちが纏う衣装も,地方色が出ていて興味深いですし,随所に挿入される歌も作品にとけ込んでいて素晴らしいです。
この作品は,インド映画にも造詣の深い松岡環さんが訳されていますので,とても分かりやすくて感情移入もしやすかったです。
日本語訳を安心して見れるせいか,よくあるインド映画のように,前半が冗長で退屈することもなく,一気に見ることができました。
かなりおすすめです。