遥か昔世の中にオブジェクト指向のオの字ぐらいしかなかったころ、ソフトウエアは何故再利用されないかが真剣に議論されていたころ、goto文がなぜいけないかを真面目に新人にたたきこむ必要があった頃、新人類の新人であった私はこの本を強制的に買わされて、強制的に読まされた。同期の猛者はこの本の5章は素晴らしいと絶賛していた。私といえば1章から順に読みソートで頭を抱え、再帰的アルゴリズムで目は宙をただよい、木構造では既に仮死状態であった。次の5章こそがpascalの作者の書いた構文解析プログラムとその解説。名著の中の名著。古典の中の古典なのだが残念ながら1986年版では割愛されたようだ。確かにyaccだlexだとコンパイラを作成する技術は当時としても日進月歩、既に時代遅れと著者は判断したのだろう。アルゴリズムを実装することがプログラミングの使命であったころ、この本の価値は絶対的であった。いまや、アルゴリズムはそれが実装されたライブラリを使うものとなってしまった。この本は、サバイバルの書となった。もし何のライブラリも使えない世界に陥ったら、この本こそがまさしくバイブルとなるだろう。しかしヴィルトさんpascalのままの方が幾分かよかったのに。どうせ書きかえるならCにすればよかったのに。Modula-2にするってのもまあ、この言語も彼の作品だからしかたがないか。