黄緑と赤の鮮やかな色彩と悩ましいアルビーノの表情に彩られた表紙にうっとり、内容も期待を裏切りません。
basso名義での第1弾コミック「
クマとインテリ (EDGE COMIX)」にて読者を楽しませてくれたアル・ネーリ・カッラーロ…といったイタリア
男達の物語が帰ってきました。今回は野党の下院議員であるアルとリストランテの従業員ネーリのカップルを中心に、その周辺を取り
巻く男性同士の恋愛模様8編が収録されています(うち2編は書き下ろし)。時系列的には「
クマとインテリ (EDGE COMIX)」の延長線上
ですが、冒頭の登場人物紹介にて相関関係は掴めるため単独で読んでも楽しめる作品となっています。
basso氏は老眼鏡の紳士・髭男性といった他BLでは余り描かれないタイプの男性の魅力を引き出すのがとても巧い方。特に老紳士の
色気をここまで引き出せる漫画家は稀有なのでは。今回初登場の人物では、アルの所属政党の支部に入党した「くまさん」風情のウー
ゴがとても可愛い。作中には様々なタイプの男性が登場しますが、どの人物も完璧でない人間臭さが漂う処が良い。
また外国映画の一シーンを観ているかのようなbasso氏独特のコマ割りは何度読んでも味わい深い。台詞を多用せずに人物の心情を
表情の微妙なコマ推移で表現したり、かと思えば要所で挟みこまれる台詞が強烈に心に刺さったりと無駄が無い。また何気なく描かれ
る人物の細かい動作(クロワッサンをかじる仕草、老眼鏡をかけ俯き具合になった表情)に、作者のフェチ振りと拘りが窺えます。
物語の詳細には触れませんが、党員・秘書・従業員・カメラマン…といった登場人物間で繰り広げられる恋愛模様はまるでもつれた糸
の様に複雑で繊細。政治活動には貪欲に出られても、決して報われないことを知っている恋愛感情は胸の中に秘めたまま…そんな切
なさが全体に漂う中、時に他の男に色めいたり過去の苦い想い出を引きずりながらも、結局は付かず離れずの絶妙な間柄でアパート
に同居するアルとネーリ2人の何気ない幸せに気付かされる。洒落た雰囲気たっぷりの軽妙な作品です。
初.回は全4種の絵柄からのポストカードランダム封入特典あり。自分は表紙のアルビーノの絵柄でした。