身分に縛られて豪奢な城の一番高い塔のてっぺんに“囚われてる”アリーテ姫が、宿命の呪縛から自らを解き放ち自由になるまでを綴った物語です。
監督はフジテレビの『ちびまる子ちゃん』『名犬ラッシー』に携わった人で、いわゆるフツーのアニメ的な荒唐無稽な演出よりも、“学校でケンカした”“友達と草原で駆け回った”などといった等身大のリアルな感覚をアニメ的技法でさらっと描くのが上手い人です。
この作品も舞台設定こそ魔法の存在するファンタジーの世界ですが、宿命に束縛されていたアリーテ姫が暗い牢獄の静寂の中で小さな希望を見つけ、生きる力を取り戻していく過程はとても写実的でリアルです。
リアルであるがゆえに娯楽としてのインパクトには欠ける一方で(だから娯楽を求めてる方には合わないと思う)、だからこそメッセージはとても印象深く共感できるものとして伝わります。
呪縛から解放されて大地を甦らせ己の生へと歩き出すアリーテ姫の姿は、厳格な貴族のお屋敷からこっそり抜け出して草原で同い年の少年たちと駆け回る『名犬ラッシー』のプリシラの姿と重なります。
☆が4つなのは、物語が“さあ、これからだ!”というトコロで終わってしまうからです。少しでも長く、あと5分でもいいから、解放されて
自由に羽ばたくアリーテ姫の姿を描いて欲しかった。
―がそれを差し引いても無意味に派手な演出が多い今の時勢で、ここまで繊細なタッチをストイックに貫いた姿勢は賞賛に値すると思う。