第二短篇集「
ゴーレムの檻―三月宇佐見のお茶の会 (光文社文庫)」のあまりの面白さに手に取った第一短篇集。
時空を超えた異世界に入ることの出来る、特異な体質を持つ宇佐見博士が探偵役の連作ですが、第二短篇集ほど明確ではないものの、学問的な分野であるモチーフと本格ミステリが融合されているのが、特徴です。
以下、1.はモチーフ、2.は提示される謎です。
【言語と密室のコンポジション】
1.字義が文字どおり現出する原理主義
2.密室殺人
【ノアの隣】
1.考古学、地理学(有史以前の古代世界)
2.巨大建造物の移動と言う不可能犯罪
【探偵の匣】
1.精神医学
2.毒殺と殴打事件
【アリア系銀河鉄道】
1.天文学
2.毒殺と脱獄事件
【アリスのドア】
上記分類は出来ないが、上記作品のいずれかと密接な関連を持ち、パズラーとしての密度の濃い作品。
2.の謎が解き明かされる中で、1.のモチーフがうまく事件と融合していくところが、第二短篇集同様、本書の素晴らしい点です。
いわゆるトリックとしての面白さという点で、評価できるのは、【ノアの隣】と【アリア系銀河鉄道】ですが、ほかの作品も、トリック云々ということを超えた趣向の斬新さがあり、かなり高レベルの作品集になっていると思います。
上記の掲載順の4作品のそれぞれについて、独自の巻末解説があるところは、著者がいかに期待されているか推察されます。