この手の書籍にありがちな、類書の孫引きに終始する解説とは一線を画する文章が、なによりも本書の白眉かと思います。写真も素晴らしく綺麗な、オリジナリティの光る、個性的な図鑑で……いや図鑑というよりもむしろ、読み物としてとてもおもしろい本です。魚料理にかんする記述がとても多いし、その魚の分類史や発見史にも言及されていて、「おもしろくてタメになる」本といえるのではないでしょうか。また、実際に荒俣氏がここ数年潜って撮影しているようで、撮影時のその場の状況などがとても詳しく書かれており、そのまますぐに海に行っても同じ魚に出会えそうだと思わせてくれます。実用的であると同時に、磯魚には門外漢のわたしの、博物学的興味を満たしてくれる一冊でもありました。さすが博覧強記の荒俣氏だと感じ入りました。