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アラブ諸国の情報統制―インターネット・コントロールの政治学
 
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アラブ諸国の情報統制―インターネット・コントロールの政治学 [単行本]

山本 達也
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

グローバル化によるIT革命の波に直面する非民主主義体制であるアラブ諸国政府は、インターネットに対してどのような政策的対応を図っているのか。アラブ諸国に長期滞在し、情報統制政策の立案・実行に係わる政府官僚・政府系企業幹部への取材を重ねた著者が、各国の情報統制の現状を政治的な視点のみならず、統制を可能にする技術面からも分析。

内容(「BOOK」データベースより)

グローバル化、情報化の波に直面するアラブ諸国政府は、インターネットに対してどのような政策的対応を図っているのか。権威主義体制のアラブ諸国に長期滞在し、情報統制政策の立案・実施に係わる政府官僚・政府系機関幹部・ICT関連企業幹部への取材を重ねた著者が、各国の情報統制の現状を技術的・政治的な視点から詳細に分析。情報化の推進により経済的な利益を最大限に得つつ、同時に政治的リスクを最小限に抑制する、アラブ諸国の情報統制政策の実態をあきらかにする。

登録情報

  • 単行本: 288ページ
  • 出版社: 慶應義塾大学出版会; A5版 (2008/4/29)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4766415159
  • ISBN-13: 978-4766415155
  • 発売日: 2008/4/29
  • 商品の寸法: 21.2 x 15.2 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By 左党犬 トップ500レビュアー
形式:単行本
 「インターネットは民主化を促進する」という命題がある。この米国発の楽観的な命題は、とくに検証されたわけでもないが日本でも広く受け入れられているので、チュニジアから始まって中東の大国エジプトにも波及した「民主化革命」においても、インターネットのチカラを礼賛する見解が多くクチにされたのも当然といえば当然であろう。
 しかし、この見解はあまりにもナイーブなのではないか、本書に目を通した人ならかならずやそう思うに違いない。なぜなら、著者の表現を使えば、これは「インターネットの中身をブラックボックス化」した議論であるからだ。

 本書は、中東アラブ諸国に特徴的な、非民主主義的で権威主義的な「独裁政治」を成り立たせてきた情報統制の実態とメカニズムについて、グローバル経済のなかでそれぞれの国家が置かれている政治経済状況とインターネット技術との関係から、フィールドワークも踏まえてその考察したものである。

 インターネットにおける情報統制は、新聞・ラジオ・テレビといった伝統的なマスメディアにおける情報統制と共通するものがあるというと、日本や先進国の状況しか知らないと不思議に思うかもしれない。
 1996年に中東湾岸諸国のカタールで始まった「アルジャズィーラ」などの衛星放送は、簡単に国境を越えてしまうので、国家レベルでの情報統制が難しいのは当然だ。だが、グローバル経済の流れのなか、2000年以降に中東で本格的に普及が始まったインターネットは衛星放送よりも新しいメディアなのに、なぜ国家レベルでの情報統制が可能なのか?

 「インターネットの情報統制」のキーワードは、プロキシサーバと情報通信のツリー構造ネットワークである。情報通信ネットワークは一国単位でネットワークが形成されている。もし国外との通信の出入り口を一つに絞り込み、その運営を政権の息のかかった独占企業体の通信企業にまかせ、しかもそこにフィルタリングを目的としたプロキシサーバを設置すれば・・・。答えはもう明らかだろう。アラブ諸国では一部の例外を除いて、ほぼすべてこのパターンでインターネットの情報統制を行っているのだ。インターネット情報の一元的管理による、情報制限、情報検閲、そして情報モニタリング、特定のコンテンツの排除などさまざまな手段で情報統制を行っている。イスラームと情報統制の関係などのテーマも含めて、詳しい議論は本文に直接あたってほしい。

 「チュニジア革命」と「エジプト革命」においても、ツイッターやフェイスブックなどのSNSが果たした役割を過大評価しないことが必要かもしれない。本書によれば、チュニジアは完全な情報統制国家、エジプトはプロキシサーバを設置していないものの、「見かけ上オープンなネットワーク」をもった情報統制国家であることがわかる。
 情報統制を行っている独裁国家で、いかにSNSを使った情報交換やデモ参加への促しが可能であったのか? おそらく今後、革命のプロセスがだんだんと明らかになっていくものと思われるが、現時点ではインターネットが果たした役割については、限定的に受け取るべきだろう。
 また「民主革命」が成就したあとも、典型的なインフラ産業である情報通信ネットワークが一夜にして変化することは考えにくい。2006年のクーデター後のタイで、軍事政権下の暫定政権が行っていた「インターネットの情報統制」を現地で体験した私には、そう思えてならないのだ。本書は、「民主化」後について考えるヒントも多く提供してくれるといってよい。

 本書は博士論文をベースにした研究書なので、全体的に繰り返しが多くて、やや冗長な面も感じなくもないが、本書で展開されている議論にかんしては、きわめて重要な視点を提供してくれたことを大いに評価したい。アラブ諸国の状況だけでなく、アジアの状況についてもきわめて示唆するところが大きいからだ。そういった観点から読むことも可能だろう。
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6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
快著!!!! 2008/5/16
By 朱徳栄 VINE™ メンバー
形式:単行本
アラブ世界に身を置いて、ネットと国家の情報統制を考えた本。
国家類型タイプ分けとネットの設計を分離して考察したところが優れている。

統制型、ガバメント型、ガバナンス型の三類型に、ネットの情報規制を重ね合わせる。そうすると統制型から一気にガバナンス型に移行する可能性も出てくる。こいう自由な視点で見ている。

また著者が強調するようにネットはインフラとコードの二層で、設計次第でいくらでも情報統制ができる。いわゆるインターネットは民主主義を必然的にもたらす(著者はゴアの95年演説から「ネット95」型と名付ける)のではなくて、いくらでも監視できるしコントロールできる。どのように統制するかは国家の設計次第であるし、その国家が現在、実世界の上で独裁的な統制を敷いていたとしても、ネットの上で自由な展開を企図しており、結果的にガバナンス型に移行することがあり得る。これは明治維新の日本を考えれば想像できるだろう。

要は、ネットをどう取り扱うのかは設計次第と言うことであってネット原理主義者のように「ネットだからこうなる」というのは妄言に等しい。
大変な快著である。
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