日常、銭金の単位はせいぜい万くらいしか見ないので、本書を読むと数千億とか数兆なんて単位が毎ページ出てきて頭がくらくらした。人口が日本の4分の1しかないサウジの貿易収支は日本とほぼ同じ。しかも大半の富を王族が独占してしまう。金持ちなのは当然という道理だ。タイトルの通り、石油バブルに沸くアラビア半島のプリンスたちが投資でまたもうけるという姿を記している。
本書の柱として取り上げたドバイのムハンマド首長、サウジのアルワリード王子の2人はいずれもオイルの恩恵を背景にしながらも、投資で更なる成功を収めた。ただ散財していた一昔の石油成金とは違う姿を見せる。また、アラビア半島でも産油国でもないながら、ムハンマド末裔をアピールして巧みに中東外交を遊泳する弱小国ヨルダンについても紹介しており、本書は単なる石油バブル紳士録に留めない。
オイルマネーで楽して儲かることを知った湾岸のアラブ人は面倒な仕事はみんな出稼ぎ労働者にやらせて、自分は働かないか、コネ社会で口銭稼ぎという、堕落した社会になってしまった。でも、石油は尽きないから、彼らはあくせくしなくてもいい。困ってもいないから政治に興味もない。本書を読むと、そんな感じがする。進歩のない社会だが、彼らは気にしないのだろう。聖典で「商売に精を出せ」と命じた、彼らの信じる神もあきれているだろうが。