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アラビアンナイト―文明のはざまに生まれた物語 (岩波新書)
 
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アラビアンナイト―文明のはざまに生まれた物語 (岩波新書) [新書]

西尾 哲夫
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

誰によって、いつ頃つくられたのか、本当に千一夜分の物語があったのか―いまや世界文学となった「アラビアンナイト」の成立事情は、謎に包まれている。まぼろしの「原典」探し、「偽写本」の捏造、翻訳による違いなど、成立から翻訳・受容の過程をたどり、異文化のはざまで変貌していく物語集の文明史的意味を考える。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

西尾 哲夫
1958年香川県に生まれる。1987年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士(京都大学)。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助手、同助教授を経て、人間文化研究機構国立民族学博物館教授、総合研究大学院大学教授。専攻、言語学、アラブ研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 224ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2007/4/20)
  • ISBN-10: 4004310717
  • ISBN-13: 978-4004310716
  • 発売日: 2007/4/20
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.4 x 0.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By チャックモール トップ500レビュアー
形式:新書
注意したいのが、本書は、
「アラビアンナイト(千一夜物語)の内容を紹介する本」
ではなく、
「アラビアンナイトとは何かを徹底的に追求する本」
だということ。

つまり、アラビアンナイトがどのように成立し、その後世界中に広まって行ったのかを、主に中東からヨーロッパに広まる際のあれこれを中心に説き起こす一冊なのだ。

とまぁ、私も勘違いして読み始めたクチだが、それでも本書は十分に面白かった。

アラブ世界ではあまり高く評価されていなかったアラビアンナイトを、ヨーロッパ人たちが興味や憧れ、あるいは一攫千金のために恣意的に翻訳し、カスタマイズしていった結果、今のようなアラビアンナイトの形ができていくという過程は非常に興味深い。
そしてそれがアラブに再度伝えられるという流れは、自国文化のよいところは外から見ないとわからない(浮世絵など)ということの好例と言えるのかもしれない。

ヨーロッパのオリエンタリズムの変遷もよくわかり、アラビアンナイトそのもののことだけでなく、ある文化と別の文化との関係、文物の伝播の過程についてなど、あらゆる意味で示唆の多い一冊。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 糸音 トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
アラジンの舞台は中国であった。
一般的な日本人の持つアラジンのイメージは神秘の中東といったところか。
しかし、アラブ人や西洋人には当方のイメージを投影される存在である。
すでに地域を越え、世界文学となったアラビアンナイト。
その成立と受容の過程に迫った書である。

前半はアラビアンナイトの成立過程や各種版本や翻訳など書誌学的な記述が続き、興味のない人にとっては読むのが億卯になるかもしれない部分である。
個人的な興味の所在とも関係してくるとは思うが、私はやはりアラビアンナイトがいかに世界文学に成長したか、どのように受容されていったかに触れる後半の方が面白く感じた。

中東では俗文学として高い地位を与えられなかったアラビアンナイトが西洋では広く受け入れられたのか。西洋での成功を受けて中東世界内部でもアラビアンナイトの成長と変容が始まる。西洋と中東を行き来するうちにアラビアンナイトは世界文学としての地歩を確立していく。
そもそも各地に伝承されていたお話の集大成がアラビアンナイトである。一人の著者の筆にならないことがその後の世界展開に有益であったのかもしれない。

日本でのアラビアンナイト受容も日本と中東世界の典型的な事例である。
西洋を通じた中東像。そこには西洋が持つような複雑なイスラム世界への視点はない。エキゾチックな異界以上の意味を持っていない。あくまでも世界の目を取り入れようと努力する日本の姿が見られるだけである。
思えば、唐天竺の時代から中東は遠い存在である。
現代も日本が直接中東を眺めているのか、西洋とはまた別の視点を提供しうる存在になり得るのか。
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2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 宣長さん トップ50レビュアー
形式:新書|Amazonが確認した購入
 原典が確認されていない/原典に忠実ではない、それこそが本質であるすらあるところの実情が研究者らしい律儀さで本書の随所に確認されている。そもそもアラビア語原典など存在するのだろうか、ということはそれが発見されるまで言われ続けるだろうし、ダンカン・マクドナルドのように「まったく内容の異なった複数のアラビアンナイトが存在していた」(110頁)という説もあながち捨てきれないようだ。
 万葉集や古事記に原典が別にあったのではないかということは海に囲まれた日本でさえ言われることで、ましてや口頭伝承から文明交流の交差点であった古代中東でそれは、仮に立派な1セットが出て来ても解決の付かない、結論の出ない問題であろう。逆に民話の集合体として想定されるなら、そんなものはテキストとしては元々ないのである。逆にそういったものがあるかのように糾合吸引させるものが、この夜話という設定の前提にはあったということが言えよう。西欧の光の文明に対して、単純に闇の、ということではなく、夜の、ちょっとわくわくさせられる、どきどきさせられるような実体験は出来ない極端な物語を表現体現したものが欲求を埋め合わせるようにあったのだとも考えられよう。
 そうは言うものの、著者が発見困難とするペルシャ語のアラビアンナイトも、多分今後発見されるだろうとするアラビア語原典のそれも、これだけ世界化してくればどちらも出て来ておかしくない、出て来るだろうものを見つけたいと思うのは私だけではないだろう。
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