時代は第一次大戦中、舞台は中東。貴族の出身、オックスフォード大学出身、博学のロレンスは変わり者と思われている。事実彼は屈折している。貴族とは言え、妾腹の子で、父親とは姓が違う。軍人官僚としては不器用で、社会不適合者かもしれない。この時代、中東を支配していたのはオスマントルコだった。イランも、イラクもシリアも近代国家といえるものはなかった。あるのは部族別な地域社会のみ。そんなアラブ人を戦力化するという任務をもってロレンスは砂漠のファイサル王子を訪ね、アラブの結束を訴える。アラブ文化ヘの同化に努力し、人々の信頼を徐々に勝ちえていく。そして、ロレンスは難攻不落と言われていたアカバの要塞を死の砂漠と言われていたところを通って奇襲し、これを陥落させ、英雄となる。以降も次々に戦果を挙げ、大佐にまで昇進するが、戦争に勝ってもまたも部族間の争いに終始するアラブ人に絶望する。彼の役割はそこで終わる。あとは英国の思うがままにされてしまう、彼は失意のうちに帰国し隠棲する。そして、オートバイで事故死。しかし、それはほとんど自殺に近いものだったに違いない。かれは「社会不適合者」としての人生に自ら終止符を打ったのだろう。ピーター・オツールの端正な顔と美しい英語、そして、雄大な砂漠、映像的にも素晴らしい。アラブの族長を演じたオマー・シャリフ(彼はエジプト人)が凛々しく精かんだった。3時間半の長編だが、飽きることはない。私は通算10回以上見ている。