エディ・ヒギンズというピアニストは良く知らなかった(単に勉強不足だが)。ヴィーナス・レコードという日本のレーベルで、ほとんどがトリオによるスタンダードの名曲を演奏し、いわゆる売れ筋の路線で人気のピアニストだったらしい。中古CD屋で見つけた時、なぜか気になり購入したのだが、「胸にぐっとくる哀愁のメロディがいっぱいの素敵なラテン・スタンダード曲を取り上げて、いつもながらのリラックスしたフィーリングに乗せ、ムーディーに聴かせてくれる、ピアノ・トリオ・アルバム・・・・」というベタな口上にいささかあきれながらも、美しい女性のジャケとスイング・ジャーナル選定ゴールドディスクのマークに、だまされてみようかという気になって購入した。メロディー重視といえば寺島靖国氏が好みそうなピアノ・トリオだなーと漠然と感じていたが、アルバムのライナーノーツは期待に違わず寺島氏。この手のアルバムは録音がよく、聴き易いのが特徴。メロディが命のラテン・ナンバーというところもミソなのだろう。11曲の有名どころのスタンダードはいずれも聞いたことがあるようなナンバーだ。僕は最近ソウルやR&B,イージー・リスニングも聴くストライクゾーンの大きいリスナーになっているから、ラテンもまたよし。確かに、ここで展開される音楽はこれといった新しさはないし、驚くべきテクニックや斬新なアレンジも見当たらないが、演奏のレベルは決して低くなく、メロディを大切にしながら、ジャズ・ピアノ・トリオとしてのエッセンスを丁寧に醸し出しながら、ゆっくりくつろいだ時空間を提供してくれる。日本の歌謡曲のルーツの一つが韓国にあるように、ジャズのルーツの部分としてのラテン・メロディを感じるような味わいである。