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アメリカ (角川文庫)
 
 

アメリカ (角川文庫) [文庫]

フランツ カフカ , 中井 正文 , フランツ・カフカ
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

年上の女に誘惑されたばかりに、両親にやっかいばらいされたカール少年は故国ドイツを追われアメリカへ。ニューヨークの伯父の家からも追い出され、放浪の旅に出る。カフカ的冒険小説。(中井正文)

内容(「BOOK」データベースより)

故国ドイツを追われたカール少年はアメリカに渡る…。現在、最も注目すべき作家カフカの1種の冒険旅行小説の形式を借りた本書は、「城」「審判」とともに孤独3部作といわれ、絶好のカフカ入門テクストである。

登録情報

  • 文庫: 436ページ
  • 出版社: 角川書店 (1972/1/30)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4042083056
  • ISBN-13: 978-4042083054
  • 発売日: 1972/1/30
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 37,469位 (本のベストセラーを見る)
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21 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
家政婦と通じ、子供まで産ませてしまったカール・ロスマン少年は、両親に厄介払いされ、故国ドイツを離れてアメリカに渡った。裕福な議員の伯父の家に身を寄せたのもつかの間、不可解な理由でまた追い出され、カール少年はアメリカを放浪する……。

カフカにとって宿命の女性、フェリーツェ・バウアーとの関係がはじまった1912年夏ころから書かれはじめ、1914年までに書き上げられたようです。恋愛生活がうまく行っていた時期に書かれたためか、圧倒的な抑圧の雰囲気はなく、不条理さやいわゆるカフカエスクな要素は薄まっています。その分、主人公の生活感のなさが際立ち、徹頭徹尾まわりに流されるそのスタイルは、小説のなかの人物ながら、見ていてイライラするくらいです。

カフカによるロスマン少年の主体性のなさの描写は、反面教師としてなのか、もしくは、そうした人間的弱さに注目した結果なのか。いずれにしても、そのロスマン少年の視点を通じて、アメリカの生き馬の目を抜くような競争、エゴイズム、力こそ正義というルール、言った物勝ちの無法性を、カフカ自身がアメリカに実際に渡ることなく喝破していることは特筆に値します。また、主人公の孤立無援な雰囲気は良く出ています。

しかし、ややもすると問題の所在を自己の内部に見ようとせず、外部からの圧力とだけ見る点に、カフカの限界をも感じました。自分が自分の状況を変えられるのだ、いや自分しか変えるものはいないのだ、という確信はなく、そこには自信のなさと他者に救いを求める甘さが見え隠れします。圧倒的な不条理に責めたてられる設定になっていない分、カフカの人間的弱さみたいなものが表出してしまっているのは皮肉です。
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By まる・ち トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
 冒頭の船の中での迷路をさまよう感じが「城」を思い出す。いかにも「カフカ的不条理な世界」という感じだった。ただ本作品では主人公は自発的にせよ偶然にせよ、新たな世界へと移動していく。これがアメリカという新天地を舞台にした若者という感じがして、閉塞的なヨーロッパのように舞台が変わらない他の作品とは趣が異なる、希望が持てる展開だ。
 しかし場所や状況を変えていっても、その先々で閉鎖された空間や人間関係に縛られる。努力して試行錯誤はしているものの、意に反して身動きが取れなくなっていく主人公という構図は同じである。
 後段で物語が不連続な感じがするが、それが意図的であれ未完成なのであれ、この作品の価値を損なうものではない、とする解説には同感だ。
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11 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
不条理さ。 2007/3/22
形式:文庫
 ラース・フォン・トリアー監督は一度も行ったこともないくせに、アメリカ三部作なる映画を撮っています。カフカも一度も行ったこともないアメリカを舞台に、この小説を書きました。不条理です。その土台からしてすでに不条理なのです。

 カフカの文章は、普通に読んでいると絶対にどこかでつまづきます。船内の様子を描写しているあいだに主人公の少年が寝てしまっていたり、視点がべつのところに行っているあいだに見えていないあいだに何かがすでに起こっています。カフカの小説を読んでいると、私たちは大事なところをすっぽかされたような気分になり、唖然としてしまうのです。

 少年は目的を持ちません。てっていして流れていきます。カフカがいつもテーマにしている「仕事」、「孤独」、そしてカフカ的描写がふんだんに盛りこまれています。ほかの長編ふたつ、主人公は徹底して孤独になっていきます。常に他人と話があわず、誤解が生まれほうりだされてしまいます。アメリカでは、けれど希望が残されます。

 小説=物語ではありません。カフカは不条理な小説を書いています。その不条理さは不条理な物語から来ているのではないと思います。私たちは不条理な小説を書きたいと思ったなら、不条理な物語ではなく不条理な文章を書かなければいけないのです……。
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