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アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ)
 
 

アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ) [単行本(ソフトカバー)]

大和田 俊之
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

商品の説明

第33回(2011年) サントリー学芸賞・芸術・文学部門受賞

内容説明

文化史としてアメリカ大衆音楽を俯瞰する!ジャズ、ブルース、ロック…黒人と白人の「弁証法」としての音楽史と、その歴史を解体する新たな視座とは。アメリカ文化史の核心を音楽から描ききる野心的論考!

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 308ページ
  • 出版社: 講談社 (2011/4/8)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062584972
  • ISBN-13: 978-4062584975
  • 発売日: 2011/4/8
  • 商品の寸法: 19 x 13 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
本書によって、米国を始めとする英語圏における90年代以降に蓄積されてきたpopular musicを対象にした音楽学や民族音楽学の研究成果がようやく反映されたアメリカ音楽史が手頃なフォーマットで掴めるようになった。本書は日本国内ではかなり衝撃的な受けてめ方をされるであろうと思われるが、いまやアメリカの音楽史学からみれば「最新の定説」とでもいえる論旨が多い。本書はミュージック・ファンが書き、読むような本ではない。そうではなく、音楽と音楽の生産・流通・消費、そして音楽のどのように歴史化されてきたかという総体を政治史的・文化史的な眼差しで捉え直そうとする試みである。こうした視座さえ前もって了解していれば、スリリングに読めるはずである。そして巻末の文献紹介エッセイだけでも、本書を買うメリットはある。ただ、ゴスペルについてに言及は皆無に均しく、著者もその事を断わっている。その理由は、何よりも、アメリカの宗教事情と黒人表現文化の双方の研究の膨大さに対して著者が安易に手が出せない現実があるからであろう。
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本書の目的は主に2つある。
1. ブルース、ジャズ、ロックンロールをはじめとして、アメリカで生まれたさまざまな音楽ジャンルが、どのように形成され、発展してきたのかをたどる。現在まで蓄積された研究成果の紹介。
2. これらアメリカのポピュラー音楽史を、「偽装」をテーマに読み解く。その駆動力となったのは、「自己表現としての音楽」ではなく、「他人になりすます」欲望であることを論証する。

1番目のものについては文句なし。これまでの正史・通説をざっとまとめ、当時の社会状況を概説し、往々にして批評とは相性の悪いポピュラー音楽を体系的に論じることの意義や魅力を知ることができる。エルヴィスがいかに過小評価されているか――彼の業績に比べれば、ビートルズやローリング・ストーンズなどはちょっとセンスのいい青年みたいなものだ――、あるいはジャズにおいて革命といえばビバップだけど、モードの成立もそれに劣らず――ジャズをコード進行(ヨーロッパ音楽)の束縛から解放し、大衆音楽から鑑賞する芸術へと押し上げた意味で――重要だ、という指摘は非常に説得力がある。

本書の主題である2番目、「偽装」について。
・白人(ユダヤ人やアイルランド人が多い)が黒人を戯画化して演じたミンストレル・ショウを、今度は黒人が演じるようになる。この偽装ひいては欲望の重層構造こそアメリカポピュラー音楽を読み解く鍵だ。
・フォーク・リヴァイバルによって「再発見」されたライトニン・ホプキンズやジョン・リー・フッカー、彼らは当時すでに電化していたが、泥臭く商業化されていないブルースを求める大衆のためにアコースティックに持ち替えた。
・ユダヤ人が多くを占めたティンパンアレーはラグタイムやジャズをはじめとした「黒人音楽」を表象することで次々とヒット曲を生んだ。

これらのように、ジャズやロックンロールやファンクやヒップホップが、いかに偽装――白人(例えばエルヴィスが性的魅力を強調して)が「黒人音楽」を演奏し、また黒人は自ら進んで戯画化された黒人像、ホットで力強く商業化されていない黒人像、を引き受け、といった具合に――のもとで、白人と黒人の欲望の渦巻く中で「ポピュラー音楽」が立ち上がってくるのかを論証する。

なるほどたしかに「偽装」はアメリカポピュラー音楽のいたるところにみられるようだ。でも、彼らは本当に偽装することを欲していたのかなあ(ただ売れるための人もいたんじゃないの?)、という疑問に対しては、ミンストレル・ショウで戯画化された黒人像を場末のクラブで黒人が演じて倒錯的な快楽を得る場面や、エリントンがビッグバンドを率いるのに黒人像と戯れ、ピート・シーガーがフォーク・ソングを歌うのに労働階級を装い……と描くことで、たしかに「偽装」が重要な駆動力となったことを指摘する。それでも個人的には、あらゆるポピュラー音楽が「偽装願望」を源泉としているかというと疑問ではあるが、たしかに説得力はある。

大衆の好みに合わせて形を変えるような商業音楽は(本書でもハモンドがジャズについて言っているように)芸術としては一歩劣るかというと、そんなことはない。冒頭でマクベスを演じる俳優についての議論を引き合いに出して指摘されているように、商業主義と退けてしまうのではなく、大衆のために形を変えながらも豊穣な文化を提供してきたアメリカ音楽の理解を深めるために本書がある、というのが正しいかと思う。

「自己表現としての音楽」と、これまで何の疑いも持っていなかった価値観がぐらりと揺らぐ体験で、最後には黒人と白人だけでなくラテンの系譜を取り入れた研究の一端なども紹介する。
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こういう骨子がしっかりした音楽論文を読みたいとずっと思っていました。

ブルースやジャズ、カントリー、R&B、ロック、ヒップホップなど
19世紀以降にアメリカで発生したさまざまなポピュラー音楽が

原初的で純度が高いレアな「黒人」音楽が
「白人」によって模倣されることにより
毒を抜かれた大衆的なものになり商業的に成功を収める、
といった単純なステレオタイプでは割り切れないことを
豊富な資料文献に基づいて丹念に検証されています。

アメリカ近代の政治や経済、社会、文化が
どのような形でポピュラー音楽に影響を与えてきたのか?
国家の制度やさまざまな社会的権力が
私たちが想像する以上に音楽の歴史を左右していることを
「擬装=他人になりすますこと」をキーワードに
鮮やかに描き出してくれます。

ところでこういった音楽関連の書物を読む際に
自分が知らない楽曲が登場したときに
今はYoutube ですぐに再生して視聴できる時代です。

インターネット技術の進歩や普及が
音楽業界全体に良い影響を及ぼす方向に作用するよう
演奏者やマスコミだけではなく音楽ファンにとっても
何らかの役割を果たせる時代が到来したような気がします。
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