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著者は、強さの理由を組織の「自己革新」能力に見出しています。(この点については、「失敗の本質―日本軍の組織論的研究―」野中、寺本、戸部他/中公文庫/1991年(初版はダイヤモンド社/1984年)においても、米軍の強さの理由として「自己革新」を挙げています)
特に印象深かったのが、第6章 組織的考察-自己革新組織 <独自能力-「有機的集中」を可能にする機能配置>で述べられる、「組織の独自能力の基本は、そのような機能の配置(configuration)である。機能の配置とは、組織の使命の遂行にもっとも適合するようにすべての機能が相互に影響しあって全体として統一体のように行動できる関係」であり、「その際、あらゆる要素を平等に扱うのではなく、中心的機能を明確にして、ダイナミックな集中が生れるように有機的な関係を形成することが重要である。」
海兵隊の中心機能は歩兵(ライフルマン)です。海兵隊の全ての機能は「歩兵」を支援することに徹しています。
たとえば、海兵隊の航空パイロットは飛行任務に志願できるまでの2年間、陸上士官として陸上部隊について働きながら学びます。その後も現役期間を通じ、陸上勤務者と同じ技術学校で学ぶことになります。歩兵の動きがわかるから、どこに爆弾を投下すれば味方が傷つかないかもわかるのです。
また、海兵隊員の中核技能(コアスキル)である「ワン ショット・ワン キル(一発一殺)」の射撃技術を「訓練で汗を流せば、それだけ戦場で流す血が少なくてすむ」という哲学にしたがって、みっちりたたき込まれます。11週間にわたる新兵訓練「ブーツ・キャンプ」は、厳しい訓練だからこそ海兵隊の中核価値と中核技能が何かを徹底的に体感でき、しかも同期生どうしあるいは全隊員が共有できる経験なのです。経理だろうとパイロットだろうと、皆が「ブーツ・キャンプ」など厳しい歩兵訓練を共体験した仲間となります。
これを企業に置換えると、自社の中核価値と中核技能は何でしょうか? 本書を読む限り、中核技能は最前線での必須技術と思われます。
たとえば、小売業であれば接客技術であろうし、商社なら特殊言語(コンピュータ言語や外国語など)や交渉技術、メーカーなら製品知識といったところでしょうか。この中核技能を社長以下、会社に所属している間を通じ、全従業員が習熟するのです。研修や訓練を通じて習熟するわけですが、価値を共有するためには汗と涙を共体験するような過酷で厳しい訓練でなければなりません。生半可な研修では、技能の習得はできても、世代を超えて全メンバーが価値を共有することはできないからです。
価値(あるいは企業理念)共有のための密度の濃い訓練…あなたはどのような訓練を経験しましたか?
しかし、この本を読んで、イギリスに海兵隊があったからというだけの理由で作られたアメリカ海兵隊が、陸軍と海軍との間にあってその存在意義を問われ続けたため、その機能を進化創造させてきた歴史がよくわかりました。
最後の章では、海兵隊の進化の歴史から学べることをまとめてあります。そこから抜き出すと、
自己革新の要件
集中と分散
分化と統合
共有されている中核技能と個々別々の専門的技能
人間性を重視するシステムと科学技術を徹底的に利用するシステム
そして、矛盾するように見えるこれらのことの突破口を見つけるための行動、それも素早い行動。!
もう一つの矛盾のように見える大きな2つの要件、「不易流行」。不変とされる組織の存在価値と常に変わり続けなければならない機能価値である。
自治体という、市場による組織変革が起こりにくい部門に働く私個人としてたいへん触発される内容でした。
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