本書は、いわゆる近代史の本ではない。
昔の欧米人は、このように日本人を見ていた、という体験記の引用は存分にあるが、
基調をなすのは、「文明とは何か」という問いである。
過去のかの国の人々は、現在の我々が漠然と思うよりは、
日本と日本人に関心があったという事実に、単純に喜んでいてはいけない。
関心を持ち続けていたということは、監視し続けていた、ということでもある。
著者は日本が与えた「文明」についての「重要な教訓」を、
多くのアメリカ人は認識できなかったと締め括るが、果たしてほんとうにそうだろうか。
彼らの側の「文明」の基準から逸脱している(と思いたい)我々にとって、
大国からもたらされる脅威は、軍事的、経済的優位のみではない。
「文明」という基準を、常に等質な具体化できる価値として、
手を代え品を代え準備してくる相手について、我々のほうこそもっと関心をもち、
改めて認識していかなければならないのではないか、と考えさせられる。
それにしても、邦題と定価は如何なものか。
せっかく面白い内容なのに、この題名では食指が動きにくいのでは。
原題は“Outposts of Civilization”。
陽気で多様な価値観をもつ米国人の日本観の変遷などでは決してなく、
「文明」という最大の武器を常に携えた対岸の隣人の思考という、本書の本質が、
原題にはよく現れている。
みすずの本が高いのは今に始まったことではないが、
本書の内容がもつ価値、ページ数を考えれば、邦題も定価も、
もう少しなんとかして欲しかった。
多くの人に読んで欲しいだけに、残念に思います。