幕末、乗っていた船が嵐に巻き込まれ、アメリカ船に救助された漂流者の人生を追った内容だが、同じ漂流者であるジョン・万次郎とは一味異なる。
まず、三人のアメリカ大統領と会っていること、それもリンカーン大統領と会っている。アメリカ国籍を取得し、カトリックの洗礼を受け、アメリカ政府の通訳官として帰国していることである。
このアメリカ彦蔵の半生と幕末維新の動きが重なるので、維新史に興味のある方には別の方角から歴史を見ると言う事で参考になる。
また、アメリカ彦蔵は「新聞の父」とも呼ばれるが、岸田吟行(画家岸田劉生の父)と新聞発行をしたことは特筆に値すると思う。
このアメリカ彦蔵が数奇で特異な人生を送ったことは、青山霊園の外人墓地にある墓石を見てみれば理解できる。クリスチャンネームを漢字に書き換えた日本風の墓石である。
そのアメリカ彦蔵の動きを丹念に追いかけたものとして、読み手を飽きさせない。