町山氏の本は大好きなのでほとんど全部読んでいるけれど、いつもメディアや映画の話が主なのに対し、今回はアメリカ社会をどっしりとテーマにそえている。
ゆがんだ宗教(キリスト教)から始まり、大義をなくした戦争、グローバライゼーションで格差を広げただけの経済、サイテー大統領ブッシュ、その他諸々...
中身によったら一瞬マイケル・ムーアの本かと勘違いしそうだ。
トピック自体は決して目新しいものではないけれど、取り上げられるエピソードが一般庶民の目から見た操作されていない「素」の声を現していてものすごく興味深い。
アメリカで実際に住んでいてメディアにかかわる仕事をされている町山氏以外日本人でこれを書ける人はいないだろう。
一番おもしろかったのが、コメディアンのスティーブン・コルベアの話。ギャグでタカ派を演じているのに勘違いしたホワイトハウスの役人が晩餐会に招待してしまう。
そこでスピーチのかわりに毒舌ギャグを連発してブッシュ政権を(彼らの目の前で)やっつけるくだりが最高。「私は国民をできるだけコントロールしない政府が一番だと思います。その意味でアメリカはイラクにすばらしい政府を作りました」と無政府状態のイラクを辛辣にとりあげる。こんな権力者たちの前でしかも自分ひとりだけしかいないのに批判をやってのける度胸がすごい。このへんがアメリカの良心なのか。
それぞれの話は長すぎず短すぎずちょうどいい。町山氏の著作のなかでベストかも。