この本は、アメリカの建国以来の歴史をたどりながら、「民主主義国家のリーダーとしてのアメリカ」という「幻想」を打ち砕く本である。具体的には、例えば、
・アメリカの建国以来の二つの原罪である、「インディアンの土地略奪と虐殺」、「黒人奴隷制」は、現在に至るまでアメリカ人のトラウマとして、潜在意識に沈潜している。
・「アメリカン・ドリーム」とは、最下層のヨーロッパ人が、新大陸に来ればインディアンの土地を略奪することで土地持ちなれるという上昇志向を意味し、インディアンにとっては悪夢でしかない。
・独立宣言は、すべての人々の平等や、人権、自由、幸福の追求などを謳い上げ、アメリカの道義性の根幹とされているが、インディアンや黒人奴隷は対象外である。この欺瞞は建国から現在に至るまで続いている。
・アメリカが、下層の国民の意見も反映するという意味での「民主主義」国家であったことは一度もない。アメリカは、一貫して最富裕層の寡頭支配である。
・共和党と民主党は、最富裕層(金持党)の2つの派閥に過ぎない。「建国の神話」を信じている点では本質的に同じである。
・ジョージ・ブッシュ大統領は、任期末期には大変な不人気だったが、建国以来の歴史から見ると特別例外的な考え方という訳ではない。
・オバマはブッシュからの「チェンジ」を掲げて大統領に選ばれたが、実は早い時期から、アメリカを支配する最富裕層から次期大統領として目を付けられ、支援されていた。軍事や財務関連にブッシュ時代の閣僚を引き継いだことからも、「ノー・チェンジ」になることは予測されていた。実際、イラク・アフガニスタン派兵、金融危機への対応、医療改革など、いずれも最富裕層(ウォールストリート)の意向通りである。
本書は、マスコミが絶対に伝えない、「アメリカの本質」についての多くのヒントを提供している。また、アメリカを毒している「新植民地主義」(別名グローバリズム)がアメリカだけの問題ではなく、日本や日本人にとっても深刻な問題であることを示唆している。