本書はアメリカで「public diplomacy 広報文化交流」と呼ばれる外交施策の歴史的・実証的検証である。その歴史は19世紀のアメリカ外交史に端を発し、現在も手を変え品を変えて続けられている。評者自身本書が紹介しているIVPの体験者でもあり、アメリカン・センターを通じて多数のアメリカ文化を学んだ。その外交史的意義を歴史的に描き出している。その具体的施策の手法は、ラジオ放送から図書館運営まで多種多様な文化活動を通じて展開される。同種の外交政策を、イギリス、フランス、ドイツも展開し、最近では日本の外務省も展開しているらしいが、規模からして太刀打ちできないらしい。所謂ソフト・パワーの具体的展開であり、文化的に遅速な媒体の影響力は深いことを教えられる。
外交などの政治分野にしろ、文化人類学的な分析手法の意義をも実証したユニークな論文である。著者のアメリカ共同体論とともに併読をお進めする。