地元出身の芥川賞作家なのに、実は全く読んだことがありませんでした。学校で教えられた記憶もない。教育としては、ちょっと片手落ちですよね、それ。
ともかく初体験の小島信夫さんということで読んだのが、芥川賞を取ったこの『アメリカン・スクール』です。喜劇のような風刺のような…妙な魅力のある世界でした。
『小銃』は、ありえないエロティックさにドキドキしました。『馬』は、ありえないできごとにニマニマしました。でも一番好きになったのは『微笑』でした。
奇妙な世界を描きながら、作者の根底には生きることに対する拭いきれない哀しみがあったのではないか。戦争をはさんだ父と子の出会いと心情。その冷静な描き方。哀しみの大きさが迫ってくる作品でした。