米国では,20世紀に入ったあたりから,少数のホテル,石油会社,百貨店によって発行されているハウスカード(house-specific card )があった。これらのカードの目的は,掛け売りのある顧客の本人確認と,顧客の購入記録をとる仕組みを加盟店に提供することだったという。
現在のサードパーティによる汎用カード(third party universal card)は,1949年のダイナースクラブの設立から始まる。本書では,1949年のある日,ニューヨークの著名なレストランに集まった三人の男,アル・ブルーミングデール(有名な百貨店ブルーミングデールの創始者の孫),その友人のF・マクナマラ,弁護士ラルフ・スナイダーの紹介から汎用カード誕生の経緯を解き始める。
ダイナースクラブの誕生で,消費者と加盟店との仲介者となり,消費者にはクレジットを拡販し,加盟店には消費者を紹介し,その両者から手数料をとるという商業的な仕組みが世界で初めて出現した。この仕組みのなかで,汎用クレジットの会社の関心は,ハウスカードのように,商品を売ることや顧客のロイヤリティを高めることではなく,純粋に金融ビジネスとして収益をあげることであり,ここにあたらしいクレジットビジネスが生まれたわけである。
しかし,ダイナースクラブが切り開いたT&E(トラベル&エンタティンメントの分野で,ダイナースが独占的に突っ走ったのは,わずか7年の短い期間だったという。アメリカン・エクスプレス,カルテ・ブランシェといった強力な追随者がでてきたからである。また,1960年代には,バンカメリカカード(BankAmericard),マスターチャージなど金融系のカードがほぼ同様のサービスをすることになり,カードビジネスは収益性で問われることもでてきて特に金融系で整理統合が進む。1976年にバンカメリカードが現在のVISAに名称を変更し,世界市場で優位に立つ。
ATMの登場,電子マネー時代の到来とクレジット産業をめぐる技術革新はめまぐるしいものがあるが,このあたりについては本書では,訳者の前書きならびに巻末の「日本のクレジット産業の課題」(経済評論家,阿達哲雄)でカバーしている。 (吉田 豊明)
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